カッパドキアの旅 カイマクル ―空はスコーンと抜けて

グランドバザール旅行記

marukunさんの旅行記

テーマ:世界遺産・遺跡・秘境

旅行記タイトル:カッパドキアの旅 カイマクル ―空はスコーンと抜けて

旅行期間:1991/08/〜1991/08/

旅行記の内容:
http://plaza.rakuten.co.jp/hunkorogashi/





―― 空は青く、スコーンと抜けていて ――


道端にはシャクナゲの花が咲きほころんでいた。

土造りの家々の壁にはキリム柄や幾何学模様の絨毯が洗濯物のように並べられている。

 夏の観光シーズンともなると、寒村はどの家も絨毯屋に様変わりする感じだ。

絨毯を織るのは、幼女からせいぜい20歳までも女性の仕事らしい。

理由は、成人ともなると指が大きくなりすぎて精密な柄を織り出せないらしい。

写真:
http://plaza.rakuten.co.jp/hunkorogashi/





―― 空は青く、スコーンと抜けていて ――


道端にはシャクナゲの花が咲きほころんでいた。

土造りの家々の壁にはキリム柄や幾何学模様の絨毯が洗濯物のように並べられている。

 夏の観光シーズンともなると、寒村はどの家も絨毯屋に様変わりする感じだ。

絨毯を織るのは、幼女からせいぜい20歳までも女性の仕事らしい。

理由は、成人ともなると指が大きくなりすぎて精密な柄を織り出せないらしい。

「――不思議なことに、この都市からは、何の遺跡らしきものも発掘されていないのである。

文献の類はもちろんのこと、壁画なども一切発見できなかった。
墓らしきものもあったがどういうわけかそこには、ひとつの遺体もなかった。
したがって、いま私達がこの遺跡のことを考えるには、周囲の補助的な事情を鑑みて、推論を駆使するしかない――。
『トルコの旅』立田洋司著・六興出版 」
まるで、古代インドのモヘンジョダロ、あるいはメソポタミアの古代都市ウル、ペルーのナスカ地上絵、
ユタ半島マヤ帝国のマチュピチュ空中都市、イースター島の像などと同類の「謎深い遺跡」ではないか。

 歴史の定説とは、その時代のさまざまな検証に沿って確立されていくが、科学的論証に乏しいとき、オカルトな史学が跋扈する隙間を与えてしまう。

下手すればカイマクルもモヘンジョダロと同じく「古代地下都市の核シェルター」になってしまうのだ。

それにつけても、信仰の力がこの都市を生んだのだとすれば、恐れ入るしかない。

 狭い通路で腰を曲げたまま進むのに苦労した。

いたるところに通気孔があり、息はつなぐことはできる。

ゾロゾロとアリの行列ような集団は「ここはワイン製造所、ここは穀物の貯蔵庫、ここは食堂、ここは家畜小屋」と、ローカルガイドの説明を受けるたび感嘆の声をあげていた。

都市機能の全てがこの地下に置き換えられていたのだ。

しかし、使われた形跡がないという意味では、「幻の都市」と言わざるをえない。

「現在、確かめられているだけでも、この奇岩の都市には4万人にのぼる人口が住むことが可能とだれており、発掘段階で地下8階にもなります。
電線が引かれていないことなどで、私たちが見学できるのは限られた一部です」

道端にはシャクナゲの花が咲きほころんでいた。

土造りの家々の壁にはキリム柄や幾何学模様の絨毯が洗濯物のように並べられている。

 夏の観光シーズンともなると、寒村はどの家も絨毯屋に様変わりする感じだ。

絨毯を織るのは、幼女からせいぜい20歳までも女性の仕事らしい。

理由は、成人ともなると指が大きくなりすぎて精密な柄を織り出せないらしい。

少し、痛々しい感覚があるが、一枚の絨毯はひとりの女性が機織り機と向かい合った歳月をもが織り込まれているのだ。

ペルシアのシングルノットで織られる精密な図柄と違い、結び目を二重に絡ませて織られるダブルノットの手法はエスニックな図柄が多く丈夫なのが特徴だ。

ヘレケなどで有名な絹の高級絨毯やトルコ最大の産地カイセリでは、ペルシアから影響された図柄なども採用されている。

 カイマクルの地下都市見学を終えて、つかの間の休憩時、瓶詰めのオレンジジュースをストローで飲みながら、壁に並んだ色とりどりの絨毯を眺め、その絨毯を織った女性たちに想いを馳せていた。

 カイマクルにはカッパドキア地方がササン朝ペルシアやイスラム帝国の侵攻にあった6世紀から9世紀にかけて築かれた地下都市がある。

この地下都市はビザンチン朝時代のキリスト教徒たちがイスラム教勢力からの迫害を逃れるために築かれたというのが定説になっている。

この地方は聖パウロが布教してまった地であるという伝えもあり、伝統的にキリスト教の信仰厚い高潔な宗教観が培養さたであろうことは想像しやすい。

しかし、不思議なことがある

暗く狭い通路を一列にアリ状態で一方通行の穴蔵を進む。

惜しまれる出口はもうすぐだ。

私の進行方向には常に薄闇に浮かぶ青い玉があった。
白人観光客のスカートの色で、通行中、彼女の臀部がずっと鼻と目の先にあったのだ。

 出口は入り口と違っていた。

ああ、青空よ、青空だ。

小一時間ほどであったが、ガイドの懐中電灯にのみ頼る世界から帰還した。

見学中のガイドの説明には「おお」という感嘆符のみだったドイツ人はとたんに饒舌になり、かんかんがくがくと「幻の都市」の謎解きをはじめだしたように騒がしい。

やれやれ、夏のトルコはセミ以上にドイツ人が風物詩らしい。

私はといえば、ふくよかなお尻から彼女の面影を思いおこしながらオレンジジュースを飲んでいた。

正面の家の2階で少女が絨毯を叩いて埃を払っていた。

午前のはやい時間帯は火山地形の谷間に風が吹き込んでいて心地よい。

地下都市(イエッルテゥ・シェヒル)の出口前には土産物屋が軒を連ねている。

カイマクルの店主たちは皆おっとりしている。

客たちを品定めするような視線もなく、落ち着きはらっている。

トルコは町によってひとびとの気風が異なる。

昨日、キノコの形をした岩が連なるゼルベ村を見学したあと、近くのバラック小屋の店を冷やかした。

キリム柄に似た綿のベストに一回袖を通すと、若い店の男が「これはおまえのもんだ」と脱ごうとする私の腕を掴んで凄んできた。

「いらない」「おまえのものだ」と押し問答がしばらくつづき、なんとか切り抜けて私は脱兎のごとく店を飛び出した。

男は軒先にでてきて、ころがっている石を投げつけてきた。

男はなにやらわめいて両隣の店の者を呼んで、その両隣の店の男たちまで一斉に私に向かって石を投げつけてくるのだ。

火山地帯とはいえ、人為的に石が飛んできたのではたまったものじゃない。

 そうかといえば、アクサライ郊外のキャラバン・サライの土産物屋、ギョメレ村郊外の丘の青空露店にいた、でっぷり太ったおばさんたちは、ただただニコニコしているだけで、「私、ひたすら待つわ」状態だった。

そのおばさんから1個30円のアナトリア地方の民族衣装を着た手作りの人形を3つ買った。

アンカラのヒッタイト博物館では、箱をぶら下げて観光客に寄ってくる、動く土産物屋に追い掛け回された。

彼らは小学低学年の少年たちだった。

「この笑顔がたまんないんだよなー」と、かの千葉のおじさんは、彼のお気に入りの少年からスカーフやらビーズやら絵葉書、ブレスレッドにいたるまでありったけのものを買い漁っていた。

帰国後、トランクを開けたとたんガラクタに変身してしまいそうな代物ばかりで、私たちは見事に少年の術中にはまるおじさんを冷ややかに眺めていた。

しかし、後にして思えば扇子の件もあるし、彼は本当の意味の親善大使だったのかもしれない。

すれからしが多いのは都市部、なかんずくイスタンブールだろう。

皆、口も達者で、最大の顧客日本人への傾向と対策もバッチリだ。

グランドバザールでは思いもかけない言葉をたくさん聞いてきた。

「ちょっとちょっと、お兄さん、見ていくだけタダよ」
「あいしてるぅ、お兄さん、彼女に喜ばれるね」
「秋葉原より安いよ」
あっと驚く禁句用語まで飛び出してくる。

 私は皆が見学中なのをよそに見学中真っ先にバスに乗り込み息を潜めて次ぎの目的地に向かうことをひたすら祈っていた―――。



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