《2》東西の風に吹かれて?イスタンブール?

グランドバザール旅行記

撫子さんの旅行記

テーマ:サッカー観戦

旅行記タイトル:《2》東西の風に吹かれて?イスタンブール?

旅行期間:2002/10/24〜2002/10/30

旅行記の内容:2002年ワールドカップで、新星のごとく現れ、その愛くるしい笑顔で日本の女性ファンの心をつかんだイルハン。
その追っかけの一部始終とまだ未開のイスタンブール内の観光、そこで出逢った自分だけの王子との恋。
さあ、ご覧あれ…、あなたのトルコに行きたくな?る…かも。
最近の『イルハンのこと』→http://oanesu.air-nifty.com/ilhan/

写真:2002年ワールドカップで、新星のごとく現れ、その愛くるしい笑顔で日本の女性ファンの心をつかんだイルハン。
その追っかけの一部始終とまだ未開のイスタンブール内の観光、そこで出逢った自分だけの王子との恋。
さあ、ご覧あれ…、あなたのトルコに行きたくな?る…かも。
最近の『イルハンのこと』→http://oanesu.air-nifty.com/ilhan/

日露戦争で日本が勝利したのをきっかけに、この国には親日家が多い。
国旗の色を見ても一目瞭然だろう。
2002年、サッカーワールドカップで日本列島が“サッカー熱”に湧いていた時、突如として、日本においては無名に近い、「背番号17」がトルコチームを第3位まで押し上げるゴールを決めていた。
その風貌と言えば、ちょんまげを結った、ピュアな笑顔のモデル並のルックス...彼は、「イルハン・マンスズ」トルコの王子…。

実力と名誉、人気、そしてタレント性、欲しいもの全てを持つ「ベッカム」とは違い、闘争心剥き出しで野性味溢れるイルハン王子に将来性を見たのである。
ワールドカップが終わっても、イルハン熱は冷めることはなかった。
“会いたい病”は、日に日に悪化するばかり。
すると、案外チャンスは早くやってきた。
某週刊誌企画のその名も、「イルハン選手に会いに行こう!」ツアーの募集があった。
ワールドカップのわずか4ヶ月後に再びあの人懐こい笑顔に会えるとは…。

イルハン王子の存在がなかったら、トルコという国には訪問しなかっただろう。
近年、トルコへ旅する日本人女性が増えたと聞く。
トロイをはじめとする遺跡巡り、ブルーモスクの幻想的な宮殿、世界遺産カッパドキアでアリスになる?それとも、B級グルメ、パムラート(さばサンド)とドンドルマ(のびーるアイス)の味見?さては、トルコで日本人女性がもてはやされるから?私もトルコ風味を追求すべく憧れの王子の元に旅立った。
トルコ、イスタンブールまではロンドン経由。
そして到着したのは夜11時。
ホテルまでは、いくつかの観光名所を通り過ごして行ったが、夜の月明かりのほのかな光の中、ひっそりと佇むブルーモスクが、まずは歓迎してくれた。

次の日、その内部を見学した。
日本の寺院と同様、靴を脱いで見学した堂内は、ステンドグラスの青い光とイズニックタイルの爽やかなシャワーを受け、メブラーナを連想させるドーム天井から垂れ下がる無数のランプが織り成す空気に包まれた気がした。
この空気感に包まれながら、毎日礼拝が出来るイスラム教徒に嫉妬した。

そして、ブルーモスクと対峙してあるのが、アヤソフィア。
コンスタンティヌス2世の時代に建造され、1453年にはビザンチン建築の最高峰と言われた大聖堂がモスクに改修と歴史の変化に伴ない生まれ変わってきた。
金色に輝くモザイクの消えかかった聖母マリアの顔は暗く、どことなく涙を含んでいるように見えた。
キリストの前だけでなく、歴史の変化にも自分は無力だったと嘆いているのか?

次は、「メデューサ」が待ち構える地下宮殿へ。
トラムが走る街内を歩いて行った。
手探り状態に近い、暗い宮殿の中は、ひんやり涼しかった。
冷ややかな視線を感じて近づくと、そこには逆さまにされたメデューサの首が。
柱の下敷きにされてしまった首は、どれをとっても正位置にはない。
それは、まともに置いたら見た者が、石にされてしまうということか?彼女の気が変わらないうちに、濡れた足元にも目もくれず出口へと急いだ。

最後は、買い物天国、グランドバザール。
陶磁器、絨毯、貴金属など掘り出し物が多く、交渉しだいで値段がどうにでもなるが、ここはあまり評判がよろしくない。
観光客に高く売り付けるという。
悔しいことに私はまんまと騙された。
ブルーモスクで見たあのランプが忘れられなくて、どうしても欲しくなった。
自由時間が30分と少なく、この時間だけで手に入れるということしか頭になかったのがいけなかった。
店先で、色とりどりのランプを見ていたら、案の定、店員がたどたどしい日本語で話しかけてきた。
素朴な笑顔と甘いアップルチャイの“買わなきゃ”魔法にかけられ、ついつい日本円で5000円のランプを買ってしまった。
正直、どれくらいの相場なのか、分からなかった。
後で考えたら、“交渉しだいで安くなる”バザールだと気付き、自分がそのランプに対してどれだけお金を出せるかを貫けばよかったのだ。
第一、TL(トルコリラ)1000、000=約80円だなんて単位がずれすぎていて頭が混乱する。
結局、使いづらさに負け、換金したのはドル紙幣だった。
意外だった。
街中のキヨスクや商店でも使えた。

情けなさとショックを引きずりつつ、ベクシュタシュVSマラティアのサッカーゲーム観戦に出向く。

サッカーの試合観戦自体も今回が初めてだった。
トルコのサポーターは、狂暴だとは耳にしていた。
私達が、このスタジアムに乗り込んで来るということは、すでに観客に伝わっており、歓迎してくれているのか、冷やかしているのか、バスが到着するや否や騒ぎ立てられた。
もちろん、報道関係も来ていて、カメラを向けられた。
「イルハンの魅力は?」などとインタビューされた。
この模様は、翌日の新聞やTV等などに載った。
轟音近いサポーター達の応援合戦、発炎筒の投げ込み、フェンスによじ登る興奮した観客達。
これが、トルコ人気質。
双眼鏡で王子の動く姿を捕らえながらも周囲の騒ぎが気になって仕方なかった。

結局、試合は王子のゴールもあり、ベシの勝利!!日本から来た女子軍団へのウエルカムプレゼントのようで嬉しかった。
興奮冷めやらぬまま、団体バスに乗車するため、スタンド席から立ち去ろうとした瞬間、誰かの手が私の腕を掴んだ。

鳩が集まるベンチに腰掛けると、ボスフォラス海峡の波が、アジアの風を私の頬にサワサワと優しく運んでくれる。
ベリーダンスショーまではまだ時間があったので、後1時間ぶらつく事にした。
アクセに集中して物色していると、トルコ石のリングに心を奪われた。
釘付けになってしまった私は、さっそく指にはめてみた。
男性用なのか?どの指にはめても廻ってしまう。
しかし、どうしても欲しくなり、店の奥のいる店員にマイサイズはないか聞こうと近寄り、話しかけて、振り向いたのは、何と昨日のスタジアムで声を掛けてきた男の子ではないか?なんという偶然…。
お互いに声にならない声を出し、いつの間にか抱き合っていた。
彼は、高揚している気持ちがそのまま顔に出ていて、彼からの頬へのKISSを受け取った時にも感じた。
彼は、エルダム。
25歳、3つ年下。
私より、5?6センチ背が高いくらいで、斜め目線に見れば、すぐそこには彼の柔らかそうな唇がそこにはあった。

結局、夜のベリーダンスショーを欠席して、彼の勤務交代時間を待ち、私達は、オルタキョイ内の「ウォール・バー」という蔦で覆われた壁のバーに入った。
大音量のロックがかかっている店内は避け、テラス席に腰を下ろした。
ビールで乾杯し、ほろ酔い気分になって、饒舌になっていくのが分かった。
オルタキョイ内では、それぞれの店同士が顔なじみなのか、多くの人が、彼を見つけてると、酔ってきては茶化してきて、ある人は一杯飲んでいったり、ある人はKISSしていったりと陽気なトルコ人の攻撃は防ぎようがなかった。
その反面、せっかく彼と2人きりの時間を邪魔されたくないという気持ちがあったので、そこを離れることにした。
酔いが醒ますため、ボスフォラス海峡の潮風に当たった。
広場は、真夜中までオープンしている店が多く、週末ともあり、賑わいが増していた。
背後には、ヨーロッパの街角を思わせるレストランから漏れる温かい明かり、左側には、息をひそめ背中を丸めたようなジャミイの控えめなライトアップ…。
彼から、1つ提案。
定番ながらも夜景が美しい場所に連れて行ってくれるという。
その場所とは、タクシム広場近くの「ガラタ塔」。

イスタンブールの街並みを360度見渡せる新市街のシンボルタワーだ。
塔までは、エルダムの兄が運転する車で行った。
ラジオからは、トルコ人歌手、タルカンの「SIMARIK」が流れてきた。
ノリノリで歌う兄のバックシートで、私達はタルカンの“CHU CHU”という声に合わせてKISSを繰り返していた。

そうこうしているうちに、塔の前に着いた。
さっそく、展望テラスまで行き、夜のイスタンブールを眼下に見渡す。
彼は、「こっちがブルーモスクで、向こうが僕たちが出会ったオルタキョイだよ。
」と説明してくれた。
2つの観光名所は、旧市街と新市街に分かれている。
その間には、湾があるので橋を渡っていく。
東京やNYとは別格で、人工的なうるさいネオンはない。
グランドバザールで感じた商人魂は微塵も感じられない。
それだけ、夜空は星のきらめきが際立っていた。
今でも、風の強い冬の夜に貼り付いていて、瞬いている蝶を見るたび思い出す。
明日の「カッパドキア」のツアーも考慮し、イスタンブール宿泊最終日に再会することを約束した。
宿泊ホテルまで送ってもらい、熱い抱擁をして、暫しの別れ。
グッド騎士(ナイト)。
すでに12時を回っていた。
朝、5時30分にホテルを出発だ。
数時間ではあったが、夢の中でもエルダムと会うことができたせいか?目覚めはよかった。
「カッパドキア」へは、飛行機で1時間30分。
トロイ遺跡同様、世界遺産に指定されている。
ここは、大陸性気候で湿気が少なく乾燥地帯で、言うなれば“岩砂漠”。
自然の造形美であるこのカッパドキアのきのこ群の中には、9世紀頃から多くのキリスト教徒達がイスラム教からの迫害を逃れるために、岩を掘って作った洞窟教会があった。

「デリンクユ」という地価都市にも行ってみた。
36もあるというカッパドキアの地下都市は全て、それが繋がっていたと推測され、現在、考古学者が調査中とか。

そして、やっと迎えた王子とご対面の日。
夕方、チームの練習を見学した。
初めて、間近で見る王子の姿にトキメク。
周りの女子もみんな目がハートになっていた。
声を上げてはいけないと言われたが、つい声が漏れてしまった。

その後、ホテルのパーティー会場での握手会へと大移動。
私達一行は、ホテル入りが19時30分だったにもかかわらず、チームの練習が押し、さらに王子が一時帰宅したため、21時からパーティーが始まった。
その間、お色直しを何回したことか・・・。
私服に着替え、白いニット帽でお出ましになられた王子は、思ったよりがっちりした体型だった。
くじ運がいい私は、一番前の席に陣取ることができた。
質疑応答、写真撮影、握手という流れで、ようやく対面して王子と話す時間がやってきた。

目を合わせ、挨拶をした。
王子は緊張しているものの、紅茶色に少しグリーンがかった人懐こい大きな目、薔薇色の唇、そして温かな手でしっかりと握手してくれた。
私の冷たく白い肌をどう感じただろう?抱きつくことはできないだろうか?こんなに近くにいるのに・・・。
こう思うのは私だけじゃないはず。
プレゼントともに手紙を渡した。
手紙の内容は、自分でも幼稚で馬鹿げていると思ったが、トルコまで会いに来たんだし、“一夜のアバンチュール”とやらを期待していた。
宿泊先のホテルの電話とルームナンバーを記した。
プリクラも貼った。
当然、来るはずがなかった。
王子には、その時、現在の奥さんがいて、しかも妊娠していたからだ。
正式には発表されていなかったので、そんなことはつゆ知らず、多少の期待はあった。

あのギリシャ神話に登場しそうな精悍な美しい横顔を独占できると思っていた。
しかし、はるばる異国から来た女子軍団の輪から脱出できた王子は、頬が紅潮していて、お付きの者の指示に操られた腹話術の人形のような顔のなっていた。
そして、イルハン王子は、作り笑顔を振りまき、ニナ姫の元へ去って行った(ことは次の日、噂になっていた)。
女子軍団一行は、目線が定まらないままホテルに戻った。
私の誇大妄想も螺旋状に落ちていった。

私には約束があった。
そう、エルダムと再会する。
さっそく、化粧直しをし、彼の携帯を鳴らす。
彼の声を聞いて頬が緩んだ。
宿泊ホテルのロビーで待ち合わせをし、昨日一緒に行ったガラタ塔へ通じる「イスティクラル通り」に繰り出す。
23時、若者の熱気でむせ返る、待ち一番の繁華街であるこの通りには、多くのトルコ料理や、ブティック、雑貨屋、CDショップ、ガラタサライ高校ある。
私たちは、民家の中庭のようなカフェレストランへ入っていった。
見上げると赤い旗がちょうどテントのように覆っていて、ぎょっとしたが、月が星を追いかけている様子には怒る気が失せる。
私は、トルコ名物のケバブ料理とライスミルクプリンを注文する。
トルコのデザートは甘いといわれるが、思っていたより甘くはなかった。
私たち2人は、周囲の賑わいをよそに出会いを取り持ってくれたイルハンの話題に花が咲いた。
2時間位経っただろうか?そろそろ店の明かりが暗くなり始め、いつの間にか周囲のざわめきもなくなっていた。
通りも人もまばらになっていた。
私は、明日早く帰国する。
もう少し、あと1日一緒にいたい気持ちになった。
お互い手を離すことができぬまま、タクシム広場まで来ると花屋がまだ開いていた。
ちらっと見ると、青い薔薇があった。
珍しいな?と思って近寄ってみるとがっかり。
白い薔薇に青いスプレーをかけていたものだった。
2人して大笑い。
すれ違う人が振り返る。
エルダムとは一時の感情、それ以外のものはない。
死角的な出会い。
私は迷わず部屋に招く。
その後は・・・夜明けの前に帰してしまうのは、さすがに気が引けたが、そろそろ出発の準備をしなくては。
スーツケースの中に入っておどける彼、何とか詰め込もうとした私。
軽いキスを残して彼は部屋のドアを静かに閉めた。
今でも、ポラロイドの微笑む彼の柔らかい唇は忘れてはいない。

プロの画家ではない信者が描いたものなので、お世辞にも芸術的なフラスコ画ではないが、それでも自分の崇拝するキリストを必死になって描いている姿が想像できた。

終始中腰にならないと進めない狭い通路のこの地下都市にも迫害を逃れるため、キリスト教徒が、暗い洞窟の中、身を寄せ合って暮らしていた。
そう言われると、どことなく暗闇から、信者のひそひそ声が聞えてきそうだった。

ランプの天使が手招きをした。
神秘と魔法の国、トルコへようこそ。

トルコ滞在3日目。
自由行動となったその1日は「オルタキョイ」と呼ばれるチープな雑貨やB級グルメ屋台が立ち並ぶ広場に1人で動いてみた。
タクシム広場から程近い宿泊ホテルから、昨日のスタジアムを通り越して、タクシーで約10分、なにやら面白そうな匂いのする場所だった。
この広場にある店は、グランドバザールとは違い、押し売りのしつこさがないので、気兼ねなくショッピングに興じる事が出来た。
アクセの露店では、値切りに成功し、陶磁器でイズニックタイルの柄に迷い、ドンドルマにかぶりつく。

このリングは少し大きいから、他のサイズはないか聞いてみた。
すると、一点物だから、他のサイズだとデザインも石の色具合も違ったものになってしまうと言われた。
少し待っていてくれれば、近くの工房でサイズを直してくれるという。
お直し待ち時間に、甘い甘いアップルチャイを舐めながら、いつの間にかお互いの手は絡まっていた。
自分でも分からない感情が、胸の奥で目覚め、それは、煮え切らないものだった故、相手の視線よりも体温を感じたかったのかもしれない。
ある種の“絆”を感じていた。

驚いて振り返ったその場所には、BEKOの白黒の縞ユニを着たトルコ人らしくない男の子が笑顔で、「コンバンワ」と話しかけてきた。
私は顔を引きつらせながらも、「こんばんわ」と答えるだけで精一杯だった。
急ぎながらも彼と出会った場所を振り返ると、彼はまだそこにいて手を振っていた。

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